このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。
第28回: FIVE FINGER DEATH PUNCH & BREAKING BENJAMIN TOUR - Irvine, CA
アメリカのロックシーンにおいてアリーナクラスの会場でヘッドラインツアーを行えるバンドはそう多くは無い、特に2000年以降からメインに活動を始めたバンドに置いてはそこまでのクラスでツアーを出来るのはまた限られてくる。Five Finger Death Punch。そしてBreaking Benjaminは共に2000年以降に本格的に活動したバンドでありながら現在の米アルバムチャートではトップクラスの売り上げを誇るバンドである。Five Finger Death PunchはメタルシーンからBreaking Benjaminはハードロックシーンと活動拠点のシーンは違えど何度もロックフェス等で対バンしている。今回そんな人気バンドの二組がタッグを組み全米を周るツアーを行った。彼等をサポートするのは今年のグラミーアワードにて三部門に選出された波に乗っているハードロックNothing More。そして先日The Cranberriesの曲Zombieをカバーし新人ながら大ヒットを飛ばしているBad Wolvesが参戦。
この強力なバンド達がライブを行う会場となるのは今年新設されたばかりのIrvine市に出来たFive Point Ampheitheatreである。この夏、話題となったロックライブをライブレポートします。
夏と言えばロックコンサートは外せない。今回は米ロック業界で快進撃を続けるFive Finger Death PunchとBreaking Benjaminのダブルヘッドラインツアーのライブレポートをお届けします。Five Finger Death PunchはAnd Justice For None、Breaking BenjaminはEmberとそれぞれ新譜を今年発売。サポートにはグラミー賞にて三部門に選出されたNothing More。そして先日曲Zombieのカバーがゴールドディスク入りしたBad Wolvesと旬な、そして強力な布陣で新設会場を圧巻。取材を許可してくれたバンド関係者の方々そしてサイトをチェックして頂いている皆様、本当にありがとうございました。
今回の会場は新設のFive Point Amphitheatre。以前同地区にはVerizon Wireless Amphitheatreという会場があったのだが、新興住宅地が建設された為騒音被害にもなりうると会場を壊し、新たに数キロ離れた場所にFive Point Amphitheatreを建設。それまでこの場所は1990年代まであった米軍基地の跡地であり広大な場所に建てた事もあり周りに何も無い。新しい会場の為施設内はトイレも含め全て綺麗であった。
ゲートを潜ると巨大なスクリーン二台を横に着けた大きなステージが。一般の立ち見スペース(モッシュエリア)は非常に広く、下は人工芝を使用。その後ろに段差のある席が並ぶ。人工芝の為、砂ぼこり等は無いが、兎に角滑りやすい。ここでサークルピットをしようものなら絶対誰かはコケるだろうなと思ってしまう。
この日のトップバッターは昨年結成したばかりのBad Wolves。今年に入り他界したThe CranberriesのヴォーカリストDolores O'Riordanが最後に仕事をしたバンド、そしてDoloresとコラボしたThe Cranberriesの曲Zombieのカバーが大ヒット中である。デビュー作Disobeyは二か月前に発売されたばかり。
Bad Wolvesのメンバーはヴォーカルに元Divine HeresyやWestfield MassacreのTommy Vext、ドラムに元DevilDriverのJohn Boecklin、元God ForbidのDoc Coyle(写真左)、元Bury Your DeadのChris Cain(写真右)、元In This MomentやJoey JordisonのVIMICでプレイするKyle Konkielと世界規模でツアーを経験してきたメンバーが揃っており新人でなく、もはやスーパーバンド並の布陣。
今回予備知識無しでBad Wolvesのライブを拝見させて貰ったが、幾度と大観衆の前でライブをしてきた猛者ぞろいのメンバーだけに演奏は全く問題無し。Tommyのヴォーカルもスクリームとクリーンを上手く使い分け素晴らしい。管理人個人的に感動したのはまたJohnのドラムプレイが見れたことである。DevilDriverでのプレイとはまた違うリズムだがドラム捌きは相変わらず容赦ない。JohnそしてベースKyleのリズム隊は安定感抜群のパフォーマンスを披露。
このバンドで気になる事はベースKyleの今後だろうか。Kyleは未だにVIMICに籍を入れておりBad Wolvesと並行して活動している。VIMICは二年前に結成され既に数曲のシングルを発表するも未だにデビューアルバムが発売されておらず、スロウな活動ペースが若干気になっていた。KyleもBad Wolvesの活動で忙しい為、VIMICは一時保留になってしまっているのか。まあJoeyもSinsaenumでプレイしているし、VIMICのデビュー作のプロデューサーであったKato Khandwalaが他界してしまった事と色々な要因があるのだろう。バンドはZombieのイメージが強いがデビューアルバムを聞いて貰えると分かるがメタルバンドと管理人は見ている。メンバー全員メタルバックグランドの人材で集められておりハードロック調の曲もあるが基本はメタルリフからの曲が殆どである。
先ずはウェルカムバックと言うべきか、約10年前にDivine Heresyにて鮮烈なデビューを果たし、直ぐにギタリストDino Cazaresとの喧嘩で脱退、その後は故Lynn Straitの後任としてSnotに加入するも脱退、Westfield Massacreを結成するもそれも脱退しようやくBad Wolvesに収まったTommy。Bad Wolvesは最後に曲Zombieを披露。それまで静観してきたオーディエンスも合唱し、会場外でたむろう人々も足早にステージに駆け付け一緒に唄い始める模様を見て、改めてZombieの偉大さを痛感。願わくば「Bad Wolves=Zombieね」といった固定観念が根付かない事を祈っている。やはり彼等自身のオリジナル曲でヒットを出してほしい所だ。メンバーのスキルは十分にある。これからどんな曲を発表してくれるのか非常に期待しているバンド。
Bad Wolvesのライブ後手早いセットチェンジを終えてNothing Moreのメンバー達が登場。メタル、ハードロック、プログロックをベースにした音楽はロック系ラジオで好評だ。バンドは昨年発表し好評を得ている作品The Stories We Tell Ourselvesから曲Do You Really Want It?でスタート。序盤のベースが前にでるプログ系から一気にメロディアスなロックナンバーに。中盤にはヴォーカルJonnyのスクリームも入る激情な場面も。ステージではこれでもかとジェットスモークが演出。Jonnyはスクラップメタルで作られたドラムに上り音楽に合わせてはねまくる。まるでSlipknotのDJ Sidを思わせる。