このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。
第11回: Periphery Juggernaut Tour - in Santa Ana, CA
2015年、新年始めてのライブは新世代プログメタルのリーダーとなったPeripheryのヘッドラインツアーJuggernautツアーのレポートをお届けします。
ダブルアルバムJuggernaut Alpha&Omegaを発表したPeripheryはそのテクニカルな作曲センスで新たなメタルジャンルDjentという名前を確立させたバンドでもあります。これまで発表されてきたアルバムは好評価を得て硬派なメタルファンから若いメタルキッズまでもを虜にするPeriphery。新世代メタルヒーローな彼らは、最近ラジオ局等で着実に知名度を上げてKnotfestにも登場したハードロックNothing More、As I Lay Dyingのメンバーが結成したWovenwar、そしてハードロック系メタルにトランペットやバイオリンを取り入れた未知の新人Thank You Scientistを連れての完売ライブを見せ付けてくれました。
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PeripheryのライブはOrange County、Santa Ana市にあるYost Theaterで行われた。ライブハウスは古くからあるが名前がYost Theaterになったのは最近である。Yostで行われる大半のイベントがDJによるEDMが中心であり、ロックライブは数える程しかやらない。という訳で、近場でも今回初めてYostに行きました。OC地域でのショウを予定していたバンドがライブハウスが見つからずYostに来てしまったというのが当てはまりそうな感じだ。決して悪いライブハウスではないが、クラブイベントが多い為ロックバンドが来る事が滅多にない場所としても有名。
写真はYost Theaterの二階席から撮影したもの。Yostは一階が全て立ち見の一般エリアであり二階層になっている。クラブを意識した作りなのか両サイドにはソファとボトルを置けるテーブルが並ぶVIP席になっている。二階バルコニーも二階層になっておりバルコニーからの景色も悪くない。そして一階と二階後方にバーが設置されている。写真はこの日中盤に出演したWovenwarのライブ時である。既に多くの客が入っており盛況だった。
バンド名が非常に特徴的なThank You Scientistは、最近プログロックCoheed&CambriaのフロントマンClaudioが始めたEvil Inkレコードと契約したばかりのバンド。彼等のジャンルを一言で言い表すのは難しい。ロックとジャズをフュージョンさせ、メタル、サイケ、そしてポップやクラシカルな要素も融合させたプログロックである。去年、デビューアルバムMaps Of Non-Existent Placesを発売したばかりの新人だ。ヴォーカルのSalvatoreはデスコアThe Acacia StrainのVincentに似ているが声は綺麗だった。
日本語だと「科学者よありがとう」となるバンド名だがプロフィールを見るとメンバー全員大学の音楽専攻で理系ではないらしい。ロックには珍しいトランペット、サクソフォーン奏者がおり、バイオリニストもいる。写真はサクソフォーン担当Ellis。新しいバンドには歓迎ムードのライブハウスで、オーディエンスは少し毛並みの違うThank You Scientistを温かく迎え入れ大きな声援で応援していた。
プログロック代表格のCoheed&CambriaのClaudioが絶賛している彼等は正に未知の生命体のようだ。メタル系のギターリフにバイオリンの音色が重なり、そしてトランペットとサクソフォーンがカバーされテンポも曲ごとに違うと非常に観ていて飽きないバンド。私はメタルやハードロックが好きだがスカやジャズも好きだという人には最適だろう。非常に乗り易い音楽でモッシュよりはサークルピットで踊る感じのノリ。能力はあるバンドなので、今後どのように活動していくのかで変わってくるだろう。非常に興味深い存在であった。
Thank You Scientistのライブが終了すると一気にオーディエンスの密度が増した感じがした。次はAs I Lay Dyingのメンバーが結成したWovenwarである。彼等を観るのは今回が初めて。Oh, Sleeperのギター兼ヴォーカルのShaneがフロントマンを務めている。悪くは無いがAILDに馴染んだ人達には違和感があるだろう。しかし、この日のオーディエンスの反応は素晴らしかった。バンドはデビューアルバムのオープニングForwardからセカンドトラックAll Riseでスタート。
2013年にAILDのフロントマンTimが逮捕された後、メンバーは全員クビになったが結成メンバーであるドラマーのJordanだけは現在もTimと共にAILDに記録上在籍している。WovenwarでもAILDと同じ様なパワフルなドラミングを披露したJordan。本当に久しぶりに彼のプレイを観た。バンドはアルバムのオーダー通りサードトラックDeath To Rightsをプレイ。
リードギタリストNickはAILDの時と変わらないメタリックなリフを弾きこなしヘドバンしながらプレイ。バンドは曲The Mason、Profane、Tempestを続けてプレイ。オーディエンスの中央にはこの日初めてのサークルピットが出来る等盛り上がった。もし、AILDが未だに健在だったら間違いなく彼等がヘッドラインであったろうラインナップだったが、Wovenwarになった彼等は現状を把握し、潰された自分達の音楽活動を一から再スタート切っていた。
WovenwarのフロントマンはShaneだが、ベーシスト兼ヴォーカルのJoshはShaneと半々ぐらいの割合でヴォーカルを担当している。曲の冒頭からJoshが唄うものもありJoshの唄もShaneと同じぐらいのレベルなのでJoshがフロントマンでもこのバンドは行けたのではないかとさえ思った。本人の意思なのか、フロントマンにはならなかった様だ。AILD時はクリーンヴォーカルを担当しており、バンドの曲丸々Joshが唄うものもあった為AILDよりもメロディアスな音楽となったWovenwarではJoshの唄が完璧にマッチされていた。バンドは曲Prophetsで締めオーディエンスは「Welcome Back」コールがおきWovenwarになっても人気な彼等だった。