このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。
第22回: SUMMER SLAUGHTER TOUR 2017 - Anaheim, CA
2007年に始まり、今年で10周年そして11回目となる米国で最もエクストリームなツアーThe Summer Slaughter Tourが今年もやってきた。
エクストリームなメタル、そしてアンダーグランドのメタルシーンで活躍する多くのバンド達の知名度貢献と影響を与えてきた祭典のヘッドライナーは今年で3回目、全てヘッドライナー出演となる米国デスメタルシーンの代表格The Black Dahlia Murder。そしてデスグラインドのベテランDying Fetusという強力な二本の主軸に、帰ってきたThe Faceless、多くのバンド達に影響を与えてきたテクニカルデスメタルのベテランOrigin等エクストリームメタルの祭典に相応しいライナップ。蒸し暑い天候だった南カリフォルニア、オレンジカウンティにて最凶バンド達の鉄槌サウンドが炸裂。
下リンクからヘッドライナーThe Black Dahlia MurderのヴォーカルTrevorのスペシャルインタビューも是非チェック。
前回2015年、Arch Enemyをヘッドラインで迎えた同ツアーから足を運ぶのは二年振りとなる。会場は前回と同じアナハイム市にあるGrove Of Anaheim。この日、平日の金曜日であったという事もあり仕事を早めに切り上げ会場に直行。2時半開場だったが3時の時点で既に開場の入り口付近は多くのメタルヘッズで賑わっていた。 尚、出演が決まってきたSlaughter To Prevailはビザ関係の問題でツアーの数公演をキャンセルしていた為この日の出演はなし。 今回取材に協力してくれたThe Black Dahlia Murderの関係者及びThe Summer Slaughterツアーの運営様に深く感謝致します。そして、このサイト及びツイッターをチェックして下さっている方々、本当にこれまでのサポートありがとうございます。
Summer Slaughterツアーではファン投票によりオープニングバンドが決められている。今年はJungle Rot、The Grindmother、Necromancing The Stone等も選考されていたがAngelMakerが投票を制した。アフロヘアーとロングヘアーのツインヴォーカルデスコアバンドである。
筆者は今回初めてAngelMakerのライブを観た。サウンドはブルータルなデスメタルに時折メロディアスなギターリフがトッピング。ドラムのJesseは強面のメンバー達の中で唯一笑顔でドラム演奏していた。
激重サウンドに二人のスクリームヴォーカルを擁するAngelMaker。筆者は決してツインヴォーカル体制を悪いとは思っていない。デスメタルのツインヴォーカルといえばDespised Iconが浮かぶ。DIのヴォーカルはそれぞれスクリームの声質が異なっている事でメリハリ感があった。特にDIのSteveは特異なPigグロウル的なスクリームがありお互いのスクリームを上手く交差させていた感じがある。しかし、AngelMakerの二人はシャウト、デスボイス、ガテラルを自在に使い分けているが声質が二人とも似ている事でヴォーカルの威力は増す、相乗効果と取る人もいるだろうが、同じ様な歌い方から相殺されているとも取られてしまう。筆者は後者の方で外観の違う二人だけに少しもったいない感じがした。
AngelMakerを観終えた後、混む前に先に物販コーナーも見ておこうとマーチブースに行く。既に多くの人が今夜のヘッドライナーThe Black Dahlia Murderのマーチを購入していた。また、今回のSummer Slaughterにおいてバンドは10月に発売される新譜Nightbringersの予約販売もマーチで行っていた。マーチで予約出来るのは面白いと早速購入。最後のスライドにて予約パスの写真を使っています。
実はこの日初めてOriginを観る事でマーチも興味があった。ここでも一枚Tシャツを購入。
Sumerianレコードにて8年在籍し3作発表しているフランス産メタルコアBetraying The Martyrsが登場。バンドの結成メンバーであり、キーボード兼ヴォーカルのVictorはキーボードを抱えて登場。オープニングを演奏しながらオーディエンスを煽る。まだ二組目だが米国内でも大きな影響力を持つSumerianのバンドだけに多くの人が知っていた様で歓声が起こる。バンドは最新作The ResilientからLost For Wordsでスタート。インタビューでも語っていたがThe Black Dahlia MurderのTrevorも一押しのバンドである。
フランスのバンドとなっているがヴォーカルAaronは英国出身。長身でスマートなAaronはSuicide Silenceの故Mitchや元Of Mice&MenのAustinを連想させる。バンドは最新作The ResilientのラストソングWide Awakeをプレイ。獰猛なスクリームのAaronに対しVictorのクリーンが上手く絡む。今回の出演アーティストは彼等とThe Facelessを除いて余りクリーンヴォーカルを使うバンドが居ない為ライナップでもメロディアスな部類に入る彼等。オーディエンスを巧みに盛り上げるAaronとVictor、シンフォニックなメタルコアからデスメタルと様々な要素を吸収したサウンドはオーディエンスをヘドバンの嵐に叩き込む。
バンドは最新作からの楽曲のみをこの日はプレイ。バンドの一作目から知っている筆者としてはBreathe In Lifeからの曲Because Of Youや二作目Phantomからの曲も少し披露して欲しかった所だが、The Resilientはこの中でも最高峰の出来であることからバンドの気持ちも解らないまでもない。Victorはキーボードを持ち歩きながらオーディエンスを煽り、時折マイクだけをもってAaronとのツインヴォーカルをしたりと盛り上げていた。自分的には好きなカバーであるLet It Goはやるかなと少し期待していたが残念。ライブ終了後少し外の空気をと会場を出ようとしたら彼等のマーチブースに既にVictorとAaronが立っていた。ライブ終わって直行でブースに来たのだろう。ファンと会話を交わしていた。