このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。
第27回: THE BLACK DAHLIA MURDER & WHITECHAPEL TOUR - Anaheim, CA
昨年発表した最新作Nightbringersが好評を得ているメロディックデスメタルThe Black Dahlia Murder、そして10年程前から出来た米デスコアシーンをJob For A CowboyやSuicide Silenceと共に牽引したWhitechapelが金字塔アルバムThis Is Exileの10周年を記念し全曲ライブをするダブルヘッドラインツアーを開催。この二大メタルバンドのサポートにイタリア産シンフォニックデスメタルFleshgod Apocalypse、近年活動が活発なオーストラリアからAversions Crown、そしてシンフォニックデスコアとし近年アンダーグランドシーンで注目を浴びているShadow Of Intentという非常に強力なライナップでこの夏デスメタルシーンをより熱くさせるツアーが決行。
会場となるのは昨年新設されたばかりのAnaheim市にあるHouse Of Blues。チケットは早くから完売しておりバンド達の注目度の高さが伺える。メロディックな曲展開がコアなThe Black Dahlia Murder、Fleshgod Apocalypse、Shadow Of Intent。強烈なデスコアサウンドを展開するWhitechapelとAversions Crownとタイプの違うバンドが入れ替わり大盛況となったデスメタルライブをレポートします。
この夏、世界中で例年にない暑さが訪れている。各地で気温が平年を大きく上回っていることを受け、暑さ対策が課題となっている今日この頃。そんな暑さをより熱くさせる(?)、そんな暑さを吹っ飛ばす、強烈なメタルツアーパッケージが全米を駆ける。米国メロディックデスメタルの代表格に上り詰めたThe Black Dahlia Murderとデスコアというジャンルを決定づけたアルバムThis Is Exileの全曲ライブを行うWhitechapel。海外から人気の高いFleshgod ApocalypseとAversions Crown、そして今回の掘り出し物Shadow Of Intent。暑さも気にならない程のヘドバン嵐のライブでした。今回撮影を許可させて貰い関係者やバンド、そして同ページをチェックして頂いている皆様に感謝。
今回のライブハウスはAnaheim市にある新設のHouse Of Blues。これまでThriceのライブレポート等で紹介していたHouse Of Bluesは同市にあるディズニーランドの敷地内にあるDowntown Disney (ランドの外にあるショッピングモール) にあった。しかし、度々ディズニーから同パークのイメージに合わないとライブハウスに出演予定だったメタルやパンクバンド達が直前になりディズニーから一方的な理由でキャンセルされており、バンドから苦情の嵐となっていた場所でした。昔、管理人も同会場にてCradle Of Filth(この時はまだディズニーも寛大だった)のライブを見に行きましたが、会場の外で列を作っていると周りの客達から魔物を見る様な目で見られた経験があり、ディズニーにもゴスやメタル野郎を入れるなと苦情があったんだと思います。そして遂にライブハウスはディズニー敷地内から直ぐ隣にある別のモールに移転。写真にある外の屋根は旧会場から持ってきたもので名残はあります。
会場に入ると直ぐにギフトショップとチケット販売のボックスオフィスがあり写真から分かる様にかなり奥行きのある会場。写真左手には旧会場から持ってきたとみられるアート作品が飾られています。
前の写真のホールを抜けると壁一面にスケボーのアートワークがずらっと並んだ大ホールに。ここにはマーチを販売しているブースや大きなバーがありました。
大ホールに設置されたマーチブースも旧会場よりも広々とした雰囲気であり、旧会場は二階にあるレストランの一角を借りてこじんまりとしたブースだった事もあり大きな改善であった。
会場内も広々としており旧会場の1.5倍にはなっていたと思う。二階席も大分広くなっており会場のキャパ数も多くなったはず。House Of Blues移転は全てにおいて改善されていた。
この日のトップバッターはShadow Of Intent。名前と数曲は知っていたバンドであったが彼等を見るのは初めて。最新作ReclaimerのオープニングWe Descend...のSEでメンバーが登場しスタート。彼等の最新作Reclaimerではバンドは2ギターの5ピースとなっているがこの日はセカンドギターであるFedericoが不在であり4ピースに。しかし、バンドは多くのギターワークを写真のChrisに託すかの様にChrisが開始から高速ギターで圧倒。特にWe Descendから二曲目のThe Returnの繋がりは見事でオーディエンスの興味を一気に引き入れた様だった。Chrisはバックボーカルも担当、クリーンではないが、デスボイスとクリーンの間をとった叫び系のボイスでフロントマンBenをサポート。
Shadow Of IntentのドラマーMattはOceanoでもプレイ経験がある。高校を出たばかりなのか凄く若く見える。今ではデスメタル系、デスコア系のドラミングを難なくこなす若いドラマーが多くなったが、Mattも例外でなくピッチの速いShadow Of Intentのリズムを一手に引き受けてバンドを先導。線が細い為パワー系の迫力のあるドラミングでは無いが適格にリズムをとったプレイ。バンドはこれまで2作品をインディーで発表。サウンドはFleshgod ApocalypseやDimmu Borgirからも影響を受けたのかシンフォニックなサウンドにThe FacelessやObscuraからのテクニカルなデスメタルに乗せたサウンド。デスコアは好きだけどメロディーをもう少し聞かせてくれるサウンドを欲している人はこのバンドはお勧めである。
バンドのフロントマンBenこそこのShadow Of Intentの核なる人物だろう。WhitechapelのPhilやThe Black Dahlia MurderのTrevorに比べると凄い若いヴォーカリストだがデスボイス、ガテラル、ハイピッチの絶叫、AttilaのFronz顔負けのデスラップ等引き出しが非常に多い、そして何といっても声量がでかい。バンドは半分以上の曲を最新作Reclaimerからのセトリだったがラスト曲に前作からのThe Battle of the Maginot Sphereをプレイし、高速でラップの様に展開するヴォーカルパートを歌い上げたBenにオーディエンスは大歓声を送った。歌詞はXboxゲームのHaloについてのテーマらしく、ゲームのファンの方は歌詞でも楽しめるかもしれない。凄い若手が出てきたと久しぶりに痺れたライブであった。