このコーナーでは、アメリカ西海岸Orange County(OC)にて行われるライブレポートをお届けします。
第12回: Thrice Reunion & Warm-up show - in Anaheim, CA
ポストハードコアThriceが約3年の活動休止を経て遂に復活。
Orange Countyのポストハードコアのリーダー的存在、そして後続の若手バンド達に多くの影響を与えたThrice。活動13年目の2012年、Thriceは一時的な活動休止を発表しFarewellツアーを行った。あれから3年、ファンから絶大な支持を得て、毎年の様にカムバックを期待されていたバンドが遂に復活宣言。バンドはSkate&Surfフェスに出演を発表、その後北米と英国で行われる複数のフェスに出演を発表し待ち侘びたファンを熱狂させた。
Skate&Surfフェス出演へのワームアップとしてバンドは地元で2公演を発表。チケットは後瞬く間に売り切れ、プレミア物となった。バンドはオープニングにポストハードコアの新鋭AEGESを着け、ソルドアウトショウで見事カムバックライブを成功。
マウスのポインタをフォトの上に乗せればレポートを読むことが出来ます。
ライブフォトの右カーソルをクリックしてライブレポをお楽しみ下さい。
また写真をクリックすればフルサイズの写真がごらん頂けます。
2015年に入り、家庭の事情によりこのサイトを休止していましたが、実生活では赤ちゃんの世話をしながらも音楽やバンドの事は片時も忘れてはいませんでした。ポストハードコアThriceが復活し地元での公演を発表、これは行かねばとチケットゲットに奔走。1公演目Pomonaショウは販売開始直ぐに売り切れ、残念と肩を落とした所に2公演目のAnaheimが追加され、今度は逃すまいと、販売開始と同時に購入。後で聞くと販売開始僅か45秒で売り切れたらしい。Thriceの地元での人気恐るべし。
今回はカリフォルニアのDisneylandの敷地内にあるHouse Of Blues。ライブ日が平日だった事もあり開始ぎりぎりに到着。 このライブハウスは中堅的な会場で、これまでもDropkick Murphys、Stone Sour、Cradle Of Filth、Lostprophets、そして活動休止に入る前のThriceもこの会場でFarewellショウを行った。ライブハウス自体はレストランと合体しており、区切られているが一階のスペースでは食事も出来る。
てっきりThriceのワンマンショウと思いきや前座がいた。LA出身のポストハードコア新鋭AEGESが登場。元はプログメタルPelicanのメンバーが結成したバンド。ヴォーカルはクリーンなヴォーカルとシャウトを使い分けローチューンでスラッジー、しかしポップ的な要素もありと中々上手い。ギターリフはPelicanやTorche、Queen Of The Stone Ageにも似た音。
僅か30分程のライブだったが、大勢のThriceファンの前でAEGESは自分達の音楽を熱演。オーディエンスも曲の終わりに拍手を送っていた。尚、AEGESのヴォーカルKembleは「君達がThriceのライブを待ちきれないように俺もThriceのライブを待っていたんだ」とThrice復活を喜んでいる様子。完売ライブの為会場は既に満杯状態で、一階の一般エリアにキャパ満員のサインが張ってありエリアに入る事が出来なくなっていた。少しでも会場入りが遅れていたら二階席からの見物になっていた。House Of Bluesで満員サインを見たのは始めてである。
AEGESのライブ終了後、数十分のセットチェンジを経て会場が暗転。ライブハウスに大歓声が起こる。ステージにThriceメンバー、ドラマーRiley、ベーシストEddie、ギタリストTeppei、そしてヴォーカル兼ギターDustinが静かに登場。3年振り、そんなに長期間の休止で無かったがファンの食いつきぶりは異常な程でステージにいるアーティストとオーディエンスの温度差の違いが凄かった。バンドは登場と同時に一曲目The Earth Will Shakeを開始。ライブハウスが揺れた。今回のライブレポはThrice豆知識も紹介していきます。 1.Thriceメンバーは結成から一度もメンバーチェンジが無い非常に珍しいバンド。活動休止期間も入れれば16年、高校時代からずっとこのメンバーでやっている。
一曲目は4作目Vheissuからで、二曲目は5作目のThe Alchemy IndexからThe Arsonist。どちらもギターリフに重みのある曲でありミドルペースながら非常に力強い演奏を聞かせる。Dustinは休止期間中もソロアーティストとして活動していた為ブランクも無く、この日のヴォーカルも素晴らしかった。 Thrice知識:現在活躍するメタルコア、スクリーモ、ポストハードコア、ポップパンクバンドの多くがThriceを通ってきている。ざっとリストするだけでもWhile She Sleeps、Paramore、Of Mice&Men、A Day To Remember、The Devil Wears Prada等のメンバーがThriceラブを公言している。というか「Thrice嫌い」って聞いた事がない。
メンバー個々の技術力もかなり高いが、ギタリストのTeppeiも技術面では多くの同業者やファンからも尊敬される存在。ギターの他にもキーボードも担当し、バックヴォーカルも行う。そしてプロデュース業もやる等兎に角Teppeiは何でも出来るミュージシャン。元々学生時代はPanteraやIn Flames等メタルを聞き込んでいた為Thriceの初期3作にはIron MaidenやIn Flamesを彷彿するギターリフを多く取り入れていた。バンドはメジャーデビュー作The Artist In The AmbulanceからPaper Tigers、Stare At The Sun、All That's Leftを立て続けに披露。人気の曲にライブ会場はモッシュの嵐に。 Thrice豆知識:プロデュース業もやるTeppeiは古くからの友人のAvenged Sevenfold(Thriceとはレーベルメイトだった)の二作目Waking The Fallenのデモ音源をレコーディングした。同アルバムのThank YouリストにTeppeiの名前がある。
バンドはポストハードコアやスクリーモシーンから距離を置き、プログロック、ロックバンドにシフトチェンジした唯一な存在。バンドは中期から後期のロックバンドとなった頃の曲In Exile、Come All You Weary、Promises、Daedalusを披露。スローテンポの曲だがこの日のオーディエンスは発狂しているのかどんなテンポでもモッシュを展開。 Thrice豆知識:前述の通り、Thriceは成功を収めたスクリーモとポストハードコアシーンが絶頂期の時にスパッと方向性を変えたバンド。当時のThriceの方向転換は多くのファンを戸惑わせたが、その後に発表した作品が非常に出来が良く、バンドの本気度、そして人気のシーンに見切りをつけてアーティストとして頑張るバンドに多くのファンが漢なバンドと賞賛する事になった。
写真は、最近仲間割れが勃発しBlink-182から離脱してしまったTomのバンドAngels&Airwavesに加入したEddie。A&AのメンバーはドラマーIlan(Nine Inch Nails)、ギタリストDavid(Box Car Racer)を擁する強力布陣。そしてEddieの前任が元Thirty Seconds To MarsのMattであった事もEddieのベーシストとしての技量が高い事が伺えます。黙ってベースを弾くEddieは昔も今も変わらず。バンドは現時点での最新作Major/MinorからのアップビートナンバーCataractsから一変して静かに聞かせるアルバムBeggersからのCirclesを演奏。オーディエンスはどんな曲でも凄い反応で曲終わりには手拍子で「さっきの曲最高!」「お前達はまだ行ける!」と大盛り上がり。 Thrice豆知識:ベースEddieは元々DustinとTeppeiのスケボー仲間でありベースを持った事も無かった。バンド結成時は本当に初心者で既に経験者の他のメンバーとのレベルの差が歴然であった。独学で練習を積み今のレベルへと上達した。